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ハリー・ポッターシリーズ 原作や映画で語られていない世界観や裏設定を解説

たぬきち
たぬきち
みなさん、「ハリー・ポッター」好きですか?
今日は、ハリー・ポッターファンには是非読んでほしい本を紹介します!

はじめは、まえがきとして、僕自身のハリー・ポッターシリーズに対する思いを綴っています。

さっさと作品内容が知りたいという方は、「作品概要」からチェックしてみてください!

ハリーポッターシリーズの思い出

僕は、ハリー・ポッターシリーズが大好きです。ハリー・ポッターシリーズの第1巻、「賢者の石」が日本で発売されたのは、たしか僕が小学校1年生くらいのときでした。

当時、一番仲良くしていた友達が本好きで、『ハリー・ポッターと賢者の石』をおすすめしてくれたのが、ハマったきっかけです。

思えば、本好きになったルーツはここかもしれません。そういえば、その友達の父親が出版業界で働く人でした。

今、出版業界で働く自分を思うと、子どもの頃の何気ない体験の1つが、その後の未来を形成しているのだと改めて実感しています。

そんなこんなで、友達にすすめられるがままに読み始めた『ハリー・ポッターと賢者の石』でしたが、その圧倒的な世界観に即ハマり、次巻の発売を心待ちにするファンになっていました。

たしか、シリーズ第2巻の「秘密の部屋」が発売されたのは、「賢者の石」発売から1年後くらいだったかと思います。発売されたら、その友達と競うように読み進めて、互いに感想を言い合っていたことを覚えています。

そう、僕は、ハリー・ポッターシリーズをリアルタイムで追い続けていた世代なんですね。

僕と同じような年の頃に、ハリー・ポッターシリーズを読んでいた方なら共感してもらえると思うのですが、次巻発売までの待ち遠しさったら、それはそれはとてつもないものでした。

早くあのハリー・ポッターの世界観に浸りたくて、次巻発売までの間に、話の展開を予想したりしましたし、「もし自分がホグワーツに入学できたら、どの寮に組分けされるだろう?」なんていう妄想もたくさんしていました。

それぐらい、作品の世界観に魅了されていたんですね。

シリーズ最終巻、「死の秘宝」が発売されたのは、僕が高校生のときでした。児童文学とはいえ、小学生のころからずっと追い続けていた物語、発売されたら即購入し、すぐに読了しました。

しかし、僕の心に残ったのは、物語を読み終えた満足感よりも、終わってしまったという虚無感でした。

ハリーたちの人生はこの先も魔法界で続いていくのに、僕だけここでリタイアしてしまうという寂しさ。長いこと一緒にしてきた旅を、途中で自分だけ終えなければならない、そんな感情に襲われたのでした。

ハリー・ポッターシリーズが、日本でも爆発的な人気となったのは、映画による効果だと思います。

僕自身、原作と同じくらい、映画も好きです。金曜ロードショーでやっていると、必ず観てしまうので、もう何度も何度も観ています。

そしてつい先日も(2020年10月〜11月)、金曜ロードショーで「賢者の石」〜「アズカバンの囚人」までの3作を放映していたのを観て、なんだか無性に原作を読み返したくなりました。

実家の親に頼み、原作を送ってもらおうかと考えたのですが、今なら、Kindle Unlimitedでシリーズ全巻を読むことができます。とても便利な世の中です。

というわけで、今は、「炎のゴブレット」を読み返している最中です。大人になってから原作を読み返したことはなかったので、当時とはまた違った感覚で楽しむことができています。

そして、Kindle Unlimitedでハリー・ポッターシリーズを探している途中で、興味深い本を見つけました。

ハリー・ポッターファンなら一度はやったことがあると思うのですが、ネットで、ハリー・ポッターの世界の設定や、ホグワーツの歴史など、シリーズ本編では描かれていない部分を調べてみたことはないでしょうか?

今回紹介する本は、それらの“気になるポイント”に対し、いくつかの新たな事実を教えてくれる本です。

J.K.ローリングが構築している設定の深さに、きっと驚くことと思います。

作品概要


『ホグワーツ不完全&非確実 (Kindle Single) Pottermore Presents』
著者:J.K.ローリング
内容:
ハリーポッターシリーズの世界が楽しめるウェブサイトpottermore.com に掲載された、J.K. ローリングの書き下ろしショートストーリーで構成されています。
J.K. ローリングのアイデアの源や、今まで語られなかった登場人物の複雑な人生、そして魔法界の驚くべき事実まで、次々と明らかに。
本作は、Kindle版のみの展開。今なら(2020年11月現在)、Kindle Unlimitedの対象になっています。

Kindle Unlimitedの使用方法は、こちらの記事で徹底解説しています。ご参考に。

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内容紹介

なぜ「9と3/4番線」なのか?

ホグワーツへ向かうには、キングズ・クロス駅から出発するホグワーツ特急に乗るのが、もっとも信頼できる方法です。

ホグワーツ特急が発着するホームは、「9と3/4番線」。なぜこのような数字がつくられたのでしょうか?また、キングズ・クロス駅には、他にはどんなホームが隠されているのでしょうか?

著者のJ.K.ローリングは、魔法使いや魔女の卵たちを全寮制の学校に運ぶ隠しプラットフォームを何番線にするか決めた時、マグルのホームとホームの間に挟まれたものにする必要があると考えました。そのため、おのずと番号は分数になったということです。

となると、キングズ・クロス駅のホームとホームの間には、分数のホームが他にも存在するのではないかという疑問が湧いてくることになります。

J.K.ローリングは、この疑問に対し、「おそらく他にもかなり多く存在する」と結論づけています。

例えば、オリエント急行のような列車で、ヨーロッパ大陸にある魔法使いだけの村へ行けたり(7と1/2番線から発車)などするそうです。

ちなみに、「9と3/4番線」というのは、J.K.ローリングのただの思いつきだそう。ですが、その数字をすぐに気に入り、即採用としたということです。

「組分け帽子」の来歴


© Warner Bros. Japan LLC
出典:https://warnerbros.co.jp/

 

ホグワーツの新入生たちは、まずホグワーツに着いたら大広間に集められ、魔法界一の眼識に基づく適正検査を受けることになります。それが、組分けの儀式です。

その組分けの儀式に用いられるのが、組分け帽子ですが、その来歴をご存知でしょうか?

シリーズ本編でも少し語られていますが、伝説によれば、組分け帽子はもともと、ホグワーツの4人の創設者のうちの1人、ゴドリック・グリフィンドールのものでした。

その帽子に、4人が共同で魔法をかけることで、自分たちの名を冠した4つの学寮に生徒たちを振り分ける能力を授けたと言われています。

組分け帽子は、4人の創設者の知性を宿していて、つばの近くにある破れ目から言葉を発することができます。また、開心術に長けており、帽子をかぶった生徒の頭の中を覗き込んで、その能力や気分を見抜くこともできます。

組分け帽子は、その知性の高さゆえに、たとえ生徒の振り分けで間違いを犯したとしても、頑としてそれを認めようとしないことで有名です。

スリザリンの生徒が利他的な行動をとろうとも、

レイブンクローの生徒が試験に軒並み落第しようとも、

ハッフルパフの生徒が怠け者でも学才に恵まれていると判明しようとも、

グリフィンドールの生徒が臆病さを露呈しようとも、

組分け帽子は、頑なに自分の判断を覆しません。

しかし、長い歴史の中で、組分け帽子がその判断を誤ったことは、驚くほど少ないのだそうです。

ちなみに、組分け帽子は、ホグワーツに関する初期の構想には登場していなかったのだとか。

全く性質の異なる4つの学寮を置くことは早い段階で決まっていたため、生徒を振り分ける方法を思いつく限り書き出していった結果、帽子をかぶって組分けする方法に行き着いたということです。

組分け困難者

そんな頭脳明晰な組分け帽子ですが、それでも生徒たち一人ひとりを4つの学寮に振り分けることは、簡単な仕事ではありません。

ときには、組分け帽子が頭を抱えてしまうこともあって、組分けに5分以上かかった新入生を指して、ホグワーツでは、「組分け困難者」という言葉が使われています。

しかし、組分けに5分以上かかるようなことは、50年に1回程度しか起こらないめずらしいケースです。

ハリー・ポッターと同学年の生徒のうち、もう少しで組分け困難者になるところだった生徒が2人います。

それは、ハーマイオニー・グレンジャーとネビル・ロングボトムです。

ハーマイオニーの場合は、レイブンクローに入れるか、グリフィンドールに入れるかで、組分け帽子は4分近く悩みました。

ネビルの場合は、組分け帽子はグリフィンドールに入れることをすぐに決めていましたが、ネビル自身が、グリフィンドールが勇敢さで知られる寮であること怖気づき、ハッフルパフに入ることを望んでいました。そんな両者の静かな争いが続いた結果、最終的にグリフィンドールに決まったのでした。

ちなみに、ハリーが実際に会ったことのある組分け困難者は2人いて、1人はミネルバ・マクゴナガル、もう1人はピーター・ペティグリューです。

マクゴナガルの場合は、レイブンクローとグリフィンドールで悩み、5分半も結論が出なかったとのこと。ハーマイオニーと同じですね。

ペティグリューの場合は、スリザリンと散々迷った挙げ句、結局はグリフィンドールに組分けされました。

ひどく頑固な組分け帽子は、ペティグリューの組分けが誤りだったのではないかということを、いまだに認めていません。

帽子の主張によれば、ペティグリューの最期が、その証拠だと。

ペティグリューの最期がどうだったのか、忘れてしまっている方は、ぜひ原作を読み返してみてください。

「忍びの地図」の存在


© Warner Bros. Japan LLC
出典:https://warnerbros.co.jp/

 

シリーズ第3作「アズカバンの囚人」で登場した「忍びの地図」、これをつくったのは、ジェームズ・ポッター、シリウス・ブラック、リーマス・ルーピン、ピーター・ペティグリューの4人です。

この4人ほど、規則を破ってホグワーツ城とその敷地を探検しつくした生徒はおそらくいません。ハリー、ロン、ハーマイオニーはおろか、トム・リドルを含めてもです。

ジェームズ、シリウス、ピーターの3人が夜な夜な学校の敷地を探検していたのは、単にいたずら心からではなく、人狼である親友のリーマスのためでした。そんなリーマスが孤独を感じることがないように、未登録の「動物もどき」になる方法を身につけました。

これにより、3人は、牡鹿、犬、ネズミにそれぞれ変身できるようになり、そのおかけで、誰にも見つかることなく、敷地を探検することができたということです。

また、ジェームズの持つ「透明マント」の助けもあり、忍びの地図が徐々に制作されていったのでした。

忍びの地図には、非常に高度な魔法がかけられていて、そのうちの1つが、「ホムンクルスの術」です。

これにより、地図の持ち主は、城の中にいるすべての人の動きを追跡できるようになっています。

この4人が地図を失ってしまったときの正確な状況は語られていませんが、きっと4人が無茶をしすぎて、アーガス・フィルチに捕まってしまったのだろう(もしくはスネイプがフィルチに告げ口した)と、J.K.ローリングは答えています。

その後、ハリーの手に渡るまでの経緯は、シリーズ本編に書かれている通りです。

「忍びの地図」の存在は、真の創案者(J.K.ローリング)にとって、ちょっとした悩みの種になったそうです。というのも、この地図があると、ハリーは自由に情報を得すぎてしまうからです。

「アズカバンの囚人」以降、「忍びの地図」は一度、ハリーの手から離れていますが、ハリーが再度地図を取り戻すシーンを、J.K.ローリングは描いていません。これはミスらしいのですが、このミスに乗じて地図をそのままにしておけばよかったと後悔したそうです。

しかし、J.K.ローリングは、シリーズ最終巻「死の秘宝」で、地図で、校内を移動するジニーの点をハリーが眺めるシーンが好きだということで、総合的に見れば、正当な持ち主の手に戻ってよかったのだと思ったということです。

「逆転時計」の扱い


© Warner Bros. Japan LLC
出典:https://warnerbros.co.jp/

シリーズ第3作「アズカバンの囚人」において、ハーマイオニーは「逆転時計」を用いて、数多くの授業をとって、勉強量を増やしていました。

「逆転時計」は、着用者が時間を遡ることができる魔法の道具ですが、当然、恐ろしい代償が伴いかねません。

生涯を時間旅行の研究に捧げてきた神秘部のソール・クローカー教授によれば、

「旅行者や時間そのものに深刻な被害をもたらすリスクを冒さずに遡ることが可能な時間は、最長で5時間前後である」

「数時間以上、過去に戻ろうとする試みはすべて、関わった魔女や魔法使いに壊滅的な被害をもたらした

「その種の実験は、1899年にエロイース・ミンタンブルが過去に遡り、1402年に5日間足止めされて以来、すべて中止された

「彼女が遠い過去に5日間滞在したことにより、彼女が出会ったすべてに人々の人生の道筋に大きな乱れが生じ、それらの人々の一生は、劇的に変化してしまった。結果、25人もの子孫が、生まれていないことになり、現在から姿を消してしまった

ということです。

そのため、魔法省は、この希少かつ強力な道具の使用を許可する際に、大変厳しい保証を求めているのです。

J.K.ローリング自身、「アズカバンの囚人」において、あまりにも気軽に時間旅行というテーマに踏み込んでしまったと発言しています。

つまり、時間旅行ができてしまうことで、多くの問題を解決できることになってしまうため、物語の筋書きを考える上で、困ったことになってしまったということです。

そのために、シリーズ本編で、ダンブルドアとハーマイオニーに、過去で目撃されることがどれほど危険かを力説させるに至ったのでした。

そして、ハーマイオニーが逆転時計を使って以降、それは返却され、その後「神秘部での戦い」において、魔法省が保管する逆転時計はすべて破壊されています。

こうして、物語上、わずかの間でも時間を遡ることができないようにしたのでした。

「秘密の部屋」の歴史


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出典:https://warnerbros.co.jp/

ホグワーツの謎の中でも、とりわけ長いこと語り継がれてきた邪悪な謎が「秘密の部屋」です。

地下に隠された「秘密の部屋」は、創設者の1人、サラザール・スリザリンが他の3人に黙って造ったものです。

何世紀もの間、「秘密の部屋」は作り話だと考えられていました。

しかし、その一方で、部屋が存在するという噂が長きに渡って語り継がれてきた事実こそ、スリザリンが自ら、部屋を造ったことを他人に話し、その話を聞いたものは彼を信じ、ひいては部屋に入ることを許可されたということの証明でもあります。

スリザリンの死後、20世紀になってトム・リドルが中に入るまでの間に、「秘密の部屋」が少なくとも1度は開かれたという確かな証拠があります。

当初、「秘密の部屋」は、隠された仕掛け扉をくぐり、いくつもの魔法のトンネルを抜けた先にありました。

しかし、18世紀になると、ホグワーツの配管設備が複雑になり(これは魔法使いがマグルのまねをした珍しい例)、最終的に「秘密の部屋」の上に、トイレが設置されることになりました。

当時、ホグワーツには、スリザリンの直系の子孫でトム・リドルの先祖であるコルビヌス・ゴーントという名前の生徒が在籍していて、最新の配管設備が設置される際、「秘密の部屋」に続く仕掛け扉を守ったということです。

「秘密の部屋」の在り処について、ホグワーツの歴史の中で、何世紀にも渡り、歴史家や歴代の校長たちが城内をくまなく捜索しましたが、その度に「秘密の部屋」は神話にすぎないと結論づけられました。

捜索が軒並み失敗に終わった理由は、当然、捜索者の中に、誰ひとりとしてパーセルマウスがいなかったからです。

改めて原作を読み返そう

以上、『ホグワーツ不完全&非確実 (Kindle Single) Pottermore Presents』の紹介を終えようと思いますが、今回紹介したのは、本書の中の一部分です。

ハリー・ポッターファンなら興味をそそられる内容ばかりなので、ぜひ一度読んでみてほしいです。

そして、ここまで記事を読んでくださった方なら感じているかと思いますが、著者のJ.K.ローリングが、ここまでハリー・ポッターの世界観を広く、深く、設定し尽くしていることに大変な驚きがあります。

まるで、本当に、魔法界というものが存在していて、その歴史の一端を切り取ったものが、「ハリー・ポッターシリーズ」であるかのように思えてしまいます。

本書を読むと、きっと原作を読み返したくなると思います。これを読んで、新たな事実や背景を知ってから原作を読むと、また違った視点で物語を楽しむことができると思います。

現在、「ハリー・ポッターシリーズ」全巻が、Kindle Unlimitedで読み放題です。大人になったハリー・ポッターファンの多くに、またあのときのワクワクと感動を思い出してほしいと思います。

では!