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ラテラルシンキングとは? 例題付きのおすすめ本『ずるい考え方』要約

この記事は、以下のような人におすすめ!
・「ラテラルシンキング」とは何か?基本的なところから知りたい人
・「ラテラルシンキング」と「ロジカルシンキング」の関係性を知りたい人
・例題を通して、「ラテラルシンキング力」をアップさせたい人

たぬきち
たぬきち
みなさん、「ラテラルシンキング」って何かご存知ですか?
今日は、「ラテラルシンキング」のやり方についてわかりやすく書かれている本を紹介します!

「ロジカルシンキング」という言葉はみなさんよく聞くと思います。

一方で、「ラテラルシンキング」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?

ビジネスマンの方や、経営学の研修を受けたことのある方は、聞いたことある言葉かもしれません。

「ロジカルシンキング」とは何か?と聞かれたら、きっと多くの人が「論理的な思考」とすぐ答えられますよね?

では、「ラテラルシンキング」とは何か?と聞かれた場合はどうでしょう?

なんとなく雰囲気では掴んでいたとしても、実際に言葉にして説明するのは結構難しいのではないでしょうか?

ちなみに、「ラテラル」を直訳すると、「水平の」という意味になります。

つまり、「ラテラルシンキング」=「水平思考法」

これは果たして、どういうものでしょうか?

そんな「ラテラルシンキング」は、物事の問題を解決する際に、役に立つ思考法とされています。

例えば、こんな問題。

・13個のオレンジを3人の子どもに平等に分けるには?
・喫茶店の古びた家具を完全リニューアルするには?
・急カーブで自動車事故を減らすには?

みなさんだったら、どう考えますか?

これから紹介する本では、このような例題を交えつつ、

「ラテラルシンキング」とは何か、「ロジカルシンキング」とはどう違うのか、ということを解説しながら、「ラテラルシンキング」の実践方法のヒントを授けてくれます。

それでは早速、紹介と要約に移りましょう!

ちなみに、今回の作品は、Kindle Unlimitedの対象作品です。まだKindle Unlimitedを活用していない方は、以下の記事も参考にしてみてください。

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作品概要


『ずるい考え方 〜ゼロから始めるラテラルシンキング入門〜』
発行所:あさ出版
著者:木村尚義
発売日:2014年10月

ラテラルシンキングとは何か?

ラテラルシンキングの定義

本書では、ラテラルシンキングを、

・常識にとらわれず、自由な発想を可能にする考え方
・最短ルートで問題を解決する考え方
・お金や時間をかけずに目的を達成してしまう考え方

と定義し、それらを「ずるい考え方」と表現しています。(もちろんいい意味での「ずるい」ですね)

たしかに、本当にこんなことが可能になる考え方があれば、最高です。

例題

さて、ここで早速、例題です。

記事冒頭に書いた3つから、こちらを取り上げてみましょう。ぜひみなさん考えてみてください。

「13個のオレンジを3人の子どもに平等に分けるには?」

 あなたが家に帰ろうとすると、駅前に移動販売のトラックが停まっていて、産地直送のオレンジを売っています。あなたはそれをおみやげにしようと、13個のオレンジを買いました。
 家に着くと、ちょうど親戚の子どもが3人、遊びに来ていたため、買ってきたオレンジをその子どもたちに分けてあげることにしました。
 ケンカにならないように、3人の子どもに13個のオレンジを公平に分けるにはどうしたらいいでしょうか。

ちなみに、僕はこう考えました。

「オレンジが13個あることは自分しか知らないし、せっかく買ってきたオレンジを自分も食べたいから、4個を自分のものとして予め分けておいて、残りの9個を3個ずつ分けてあげよう。」

この考えが、ラテラルシンキング的にどうなのかは判断がつかないですが、問題文に「3人の子どもに13個のオレンジを公平に分けるには」と入っている以上、おそらくこの回答ではルール違反ですね…。

一般論としてのラテラルシンキング

では、続いて回答を…

と行く前に、

「ラテラルシンキング」とはどういう思考法なのか?

ということを、本書の解説に沿って、簡単にまとめてみます。

まず、一般的な説明としては、

イギリス人のエドワード・デ・ボノ博士が1967年に提唱した考え方で、「どんな前提条件にも支配されない自由な思考法」

というものだそうです。言い換えれば、「発想の枠を広げる思考法」ですね。

ロジカルシンキングとの違い

「ラテラルシンキング」というものをより深く理解するためには、「ロジカルシンキング」との違いを理解することが重要です。

2つの違いと一言で表すとこうです。

「積み上げるロジカル、ジャンプするラテラル」

もう少し丁寧に掘り下げてみます。

記事冒頭でも触れた通り、ロジカルシンキングとは、「論理的な思考」のことです。A⇒B⇒Cというように、物事を順番に積み上げながら、筋道立てて正解を導いていく思考法です。

つまり、思考の各ステップが正しくつながっているかということが大前提。要するにロジックエラーを起こしていないかということですね。もしここでロジックエラーが起きてしまっていると、正解を導き出すことはできなくなります。

常識や経験から、妥当だと思われる「正解」を導き出すために、ロジックを掘り下げていくので、垂直思考(バーティカルシンキング)とも呼ばれます。

一方、ラテラルシンキングでは、正解を導き出すための順番や過程は、あまり気にするポイントにはなりません。筋道立てて考える必要がないということです。それどころか、スタート地点から一気にジャンプして、いきなり正解にたどり着いてもいいのです。ゆえに、ラテラルシンキングには、ロジカルシンキングと違って、「唯一の正解」というものがありません。

さて、ここで、ロジカルシンキングの別称とラテラルシンキングの日本語訳を思い出してみてください。

ロジカルシンキングの別称は「垂直思考」
ラテラルシンキングの日本語訳は「水平思考」

垂直と平行

つまり、ロジカルシンキングは、スタート地点から垂直方向にまっすぐに掘り下げていく思考法、ラテラルシンキングは、水平方向に視点を広げる思考法だということです。

まとめるとこうなります。

ラテラルシンキング ロジカルシンキング
目的 思考の幅を広げる 筋道立てて解答を導き出す
思考の方向性 水平思考 垂直思考
解答 唯一の正解はない 基本的に解答は1つ
考え方 自由に発想する 枠組みに当てはめて考える

 

例題の模範解答

お待たせしました!ここでようやく、先程の例題の模範解答を4つ、ざっくりと紹介します。

方法①:4個ずつ分けて余った1個を3等分する

きっとこれは誰でも思いつきますね。でも現実的に考えて、オレンジ1つを3等分って、どうなんでしょう?どれだけ綺麗に切ったところで、本当に公平かと言われると、厳密には違いますよね。

 

方法②:秤を使って同じ重量ずつ分ける

個数じゃなくて、重さで分けるという考え方。1つ1つのオレンジが同じ大きさとはかぎりませんから、ちょっとだけ「なるほど」って思いますよね。公平さの正確性なら、この方法が正解な気もしますが、相手は子どもです。大事なのは重量よりも見た目でしょう。たとえ重さが等しいとしても、それで個数に差が出てしまったら、不平不満が出てしまう気もします。

 

方法③:ジュースにして分ける

これは公平だし、「その手があったか!」感がありますよね。「3人に分ける」と言っているだけで、「加工してはいけない」なんて、一切言われてないですからね。解答を聞くと、「そんなことか」というレベルなんですが、いざ自分で考えてみると、なかなか「一定のルールの中で、発想を飛ばす」のは難しいものです。

 

方法④:オレンジの種を植える

余ったオレンジの種を土に埋め、たくさん実ってから同数ずつ分けるというもの。まるで投資家のような発想です。解答としてこれが適切かはさておき、こんなぶっ飛んだ発想が出てくるようになったら、ラテラルシンキング力がアップしたと言えるかもしれません。

 

本書では、方法①と②は、ロジカルシンキングの発想だと言っています。「公平に分ける」という目的に向かって、その方法を論理的に掘り下げているからですね。

一方、方法③と④は、ラテラルシンキングの発想です。「3人で公平に分ける」というルールの中で、最大限の自由な発想で、解答を導き出しているからです。

ちなみに、この方法③と④の解答を考えたのは、小学校に上がる前の子どもだそうです。大人になればなるほど、「前提」や「常識」にとらわれがちになってしまいますし、何より大人の私たちは、あらゆる場面で、「論理的かどうか」を求められます。自然と、自由な発想をしづらくなってしまっているのかもしれません。

ラテラルシンキングの必要性

学校教育はロジカルシンキング

みなさん、例題を解いてみていかがだったでしょうか?

ラテラルシンキング、なかなか難しくなかったですか?

しかしそれは、当たり前のことなんです。

なぜならば私達は、ベストの解答を1つだけ選ぶことに「慣らされて」いるからです。

そう、つまり、学校で教わる思考こそが、「ロジカルシンキング」だということです。

学校のテスト、求められる正解は1つですよね。その1つの正解を導き出すことができるようにすることが、学校の勉強であり、教育なんです。

ロジカルすぎると窮屈になる

ロジカルさが求められるのは学校だけではありません。仕事においても多くの場合はそうでしょう。

いくつかの条件を考慮して、ひとつの案に絞ることを要求されますし、ビジネスの場において人を説得するには、ファクトから導き出されたロジカルな資料が必要不可欠です。

つまり、私達の生活する社会というのは、ロジカルシンキングに支配されているということです。もちろんこれは一概に悪いことではなくて、社会がうまく回っていくためには、それこそ必要不可欠なことです。

でも、考えてみてください。

「正しい答えは1つだけ。あとはすべて不正解。」

なんて、なんだか窮屈じゃないですか?すごく排他的な考え方ですよね。

この本ではそれを、「正解は1つだけ症候群」と表現しています。

僕はこの言葉を見て、なぜだかものすごく心に刺さりました。自分自身がその症候群にかかっているのと同時に、きっとこの日本全体がそうだと感じたからです。

だからといって、全員がすべてのことにおいて、ラテラルシンキングばかりしていたら、きっとこの世の中は機能不全になってしまうと思います。

重要なのは、バランスです。学校教育で培ったロジカルシンキングをベースとして、必要に応じて、発想を飛ばしたラテラルシンキングを行う。

バランス

これこそが、目まぐるしいスピードで変化する社会で生き抜くために、必要な力なのだと思います。

コロナを通して、今日までの「常識」が、明日からは「非常識」になってしまうという現実を、私達は経験しました。きっとこれは、今後も普通に起こることです。

そのような時代の中で、どんな変化にも対応できる思考法を持っていることは、大きな武器なると思います。

本書を通してラテラルシンキングの力を身につけることが、人より一歩抜きん出る可能性を高めてくれると、僕は考えます。

まとめと例題

僕はこの『ずるい考え方』を読んで、ラテラルシンキングとはどういう思考法なのかということと、それがどのように役立つのかということを学ぶことができました。

実は、当記事で要約としてご紹介しているのは、本書の第1章までに過ぎません。

本書ではこの後、

・ラテラルシンキングに必要な3つの力
・最小の力で最大の効果を出す
・相手の力を利用する
・異質なもの同士を組み合わせる
・先の先を読む
・ムダなものを捨てない
・マイナスをプラスに変える

という章立てで進み、より実践的な方法論を解説しています。

そして、私がこの本を読んで導き出した結論は、「ラテラルシンキングは実際にやってみないと身につかない」 ということです。

本書の最後には、ラテラルシンキングの例題が4つ掲載されています。

せっかくなので、最後にその内2つを紹介して、今回は記事を終えようと思います。

じっくり自分で考えた後に、模範解答が気になった方、もっと例題を解いてみたいと思った方は、ぜひ本書を手にとって、確認してみてください!

Q1 何もない宿泊施設

山間のひなびた集落に、1軒のホテルがありました。このホテル、かつては「田舎」の雰囲気を味わいたいと、都会から多くの人が訪れていましたが、今ではすっかり予約数が激減してしまいました。
その理由は、ホテルのある集落と、最寄りの街とをつなぐバス路線が廃止され、交通の便が極端に悪くなってしまったためです。
加えて、ホテルの付近にはコンビニもスーパーもないため、とても不便。温泉などの観光名所でもあれば、PRのしがいもありますが、当然そのようなものもありません。さて、あなたならどうしますか?

Q2 ある喫茶店主の悩み

ある喫茶店の店主が悩みを抱えていました。お店のテーブルやイスなど、家具類の痛みが激しいのです。大きく傾いていたり、表面がひどく汚れていたりして、目も当てられない状態です。
お客さんは駅前のオシャレなカフェに流れていくので、当然売上は激減。そんなわけで、思い切ってすべての家具を買い替えたいのですが、十分な資金がありません。なんとか、経費をかけずに、すべての家具を新調することはできないでしょうか?